発行者: 07.12.2022
引用するにはまずログインしてください ログイン 閉じる. 漂の最期の時の話を聞いた時、信の表情には悲しみは感じられなかった。 「漂。やっぱすげぇなぁ。お前は」 無二の親友を誇らしく思い、自然に溢れ出たこの言葉は信の本音なのだろうと思った。 昌文君を相手に剣の稽古をする漂を何度も見て、剣を習った事は無く自己流の鍛錬しかしていないと言いながら相当に腕の立つ奴だと驚いた事は覚えている。 信にしても同じだ。 腕が立つだけでなく、精神的な強さも並ではない。 自分よりも遥かに強いと思われる相手に、臆する事なく立ち向かっていく。 こいつらのこの強さは一体どこから来るのかと思う。.
漂が信の事を楽しそうに語った時、そんな友人が、仲間がいる関係を心底羨ましいと思った。 今、俺にもそんは仲間が出来たのかもしれない。 気を使わずにふざけ合い、共に死線をくぐってきた絆のある仲間が。[newpage]. 引用をストックしました ストック一覧を見る 閉じる. この場所に居るとあまりにも静かすぎて、秦国の存亡をかけた激しい戦いが今も続いているという事さえ、何か現実ではない遠い世界の事のような・・・そんな気持ちにもさせられる。 「見えるか?政」 「ああ」 政は顔を上げて窓の外を見た。. 漂の最期の時の話を聞いた時、信の表情には悲しみは感じられなかった。 「漂。やっぱすげぇなぁ。お前は」 無二の親友を誇らしく思い、自然に溢れ出たこの言葉は信の本音なのだろうと思った。 昌文君を相手に剣の稽古をする漂を何度も見て、剣を習った事は無く自己流の鍛錬しかしていないと言いながら相当に腕の立つ奴だと驚いた事は覚えている。 信にしても同じだ。 しらす強化 デッキ 自分よりも遥かに強いと思われる相手に、臆する事なく立ち向かっていく。 こいつらのこの強さは一体どこから来るのかと思う。.
お互いに言葉を交わさなくても、二人は同じ事を思い出していた。 王都奪還の戦いの前。 抜け道の洞窟から出た時、空に月が輝いていた。 その時はまだ信頼関係もできていなかった二人だったが、それぞれの思いを持ちながら同じ月を見上げた。. 引用をストックしました ストック一覧を見る 閉じる.
昌文君や他の臣下達が見たら激怒しそうな光景だろうなと思う。 信や貂から、名前で呼び捨てにされる事も「お前」「こいつ」呼ばわりされる事も、最初から決して不快ではなかった。 むしろ嬉しかったかもしれない。. お互いに言葉を交わさなくても、二人は同じ事を思い出していた。 王都奪還の戦いの前。 抜け道の洞窟から出た時、空に月が輝いていた。 その時はまだ信頼関係もできていなかった二人だったが、それぞれの思いを持ちながら同じ月を見上げた。.
外はもうすっかり暗くなっていて、蒼黒い空には無数の星が散らばっていた。 今日は昨日までと違って、敵軍が夜襲と見せかけて一晩中音を出してくる事もなく、むしろ気味が悪いほど静かだ。 この蕞が落とされれば秦国が滅ぶという事も、そのギリギリの線で持ち堪えているという事も、一瞬忘れそうになるほどの静寂。. 引用するにはまずログインしてください ログイン 閉じる. 読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる.
引用するにはまずログインしてください ログイン 閉じる. それでも前と違ったのは、政は信におぶってもらう事をこれ以上拒否しなかった。 「俺も前にお前におぶって運んでもらった事あったしな。これで貸し借り無しな」 そう言って笑う信に素直に従った。. 引用をストックしました ストック一覧を見る 閉じる.
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お互いに言葉を交わさなくても、二人は同じ事を思い出していた。 王都奪還の戦いの前。 抜け道の洞窟から出た時、空に月が輝いていた。 その時はまだ信頼関係もできていなかった二人だったが、それぞれの思いを持ちながら同じ月を見上げた。. 読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる. 用意されていた新しい衣に着替えて、もう祝宴が始まっている場所に向かった。 「政!」 後ろから呼び止められて振り返ると、信がこっちに向かって歩いて来ていた。 「見違えたぜ。政。そんな格好してっとやっぱお前綺麗だし王様らしいよな」 「お前は湯に入らなかったのか?」 「さっき入ったぜ」 「その格好・・・着替えが置いてなかったか?」 「あんなビラビラしたもん着られっかよ。どうやって着るのかわかんねぇしな」 信はさっきまで着ていたのと同じものをそのまま着ていて、この方が落ち着くと言って笑っている。 「一応水で洗ったんだぜ。着てりゃあそのうち乾くしな」. この状態で何故起き上がれるのかと信は思う。 監視 バイト まあわかんなくもねぇけどな・・・ 自分も戦いの場で、何度もこういう時があったという事を信は思い出した。.
昌文君や他の臣下達が見たら激怒しそうな光景だろうなと思う。 信や貂から、名前で呼び捨てにされる事も「お前」「こいつ」呼ばわりされる事も、最初から決して不快ではなかった。 むしろ嬉しかったかもしれない。. 俺と信が座っている後ろは壁のはずなのに、ふと背後に人の気配を感じて振り返る。 「どうした?政」 「いや。何でもない」 気のせいだったのかと思った時、耳元ではっきりとその声を聞いた。 「大王様。信は私が言った通りの男だったでしょう?」 漂・・・ 「そうだな。こいつはお前が言った通りの男だ」.
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引用をストックしました ストック一覧を見る 閉じる. その場で見ていて、政が斬られて命を落としたかとも思った秦国軍の兵士達は安堵した。 思った程深い傷ではなかったのか。 どう見ても相当に出血があるように見えるのだが・・・ 政は兵士達に守られ、城壁の中まで下がる。 首筋の傷を抑えている手は鮮血で真っ赤に染まっていて、政が歩いて行く地面には、傷口から流れ落ちる血が点々と染みを作った。. 読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる. 出血が酷い。 命をつなぐだけの血液が残っているうちに出血を止められるのか。 医者も設備も無いこの場所で、出来る限りの手当てをするしかなかった。 さっきまでしっかり歩いているように見えた政は、今は顔色も蒼白で意識が無い。.